日記

2024-09-03 08:16:00

【ITGCとITACの違いとそれぞれの重要性】

ITにおける内部統制は、企業の情報システムの健全性を維持し、業務の効率化とリスク管理を実現するために欠かせません。その中で、特に重要なのが ITGC(IT全般統制)ITAC(IT業務処理統制) です。当社HPの検索キーワードとして「ITGCとITACの違い」が上位にあるため、本記事では、ITGCとITACの違いと、それぞれが持つ重要性について解説します。

 

● ITGC(IT General Controls)とは?

ITGC は、企業のIT環境全体に適用される基本的な管理プロセスや手続きを指します。これには、システムの開発や変更管理、アクセス管理、データバックアップ、災害復旧計画など、組織全体のIT運用を支える広範な管理活動が含まれます。ITGCの主な要素を以下にまとめます。

  • アクセスコントロール: 重要なシステムやデータへのアクセスを制御し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐことを目的とした管理手続きです。これには、ユーザーの認証、権限の設定、アクセスログの監視が含まれます。

  • 変更管理: システムの変更が適切に計画、承認、実施されるよう管理し、システムの整合性を保つプロセスです。変更が計画外のリスクを引き起こさないよう、テストや承認手続きが重要となります。

  • 運用管理: データバックアップ、システムのパフォーマンス監視、インシデント管理など、ITシステムの安定的な運用を支える活動が含まれます。システムの稼働状況を継続的に監視し、必要なメンテナンスを行うことで、サービスの中断を防ぎます。

  • 構成管理: IT資産の管理と追跡を行うプロセスであり、ハードウェアやソフトウェアのバージョン管理、設定情報の一貫性を確保することを目的としています。構成管理により、システム全体の整合性と安定性が維持され、変更や障害発生時の影響を最小限に抑えることが可能です。

  • 障害管理: システム障害やインシデントが発生した際に、その影響を最小限に抑え、迅速に問題を解決するためのプロセスです。障害管理は、インシデント管理、問題管理、継続的な監視とログ管理を含みます。これにより、システムの信頼性と可用性が確保されます。

  • 災害復旧計画(DRP): 予期せぬ災害や重大なシステム障害が発生した際に、迅速にシステムを復旧し、業務を継続できるようにするための計画と手続きです。これには、データのバックアップやシステムのリカバリ手順が含まれます。

これらの要素により、ITGCは企業全体のITリスクを管理し、システムの整合性と信頼性を確保する基盤となります。ITGCが適切に機能していない場合、個別のアプリケーション制御(ITAC)に対する信頼性も低下する可能性が高くなります。

 

● ITAC(IT Application Controls)とは?

一方、ITAC は特定のアプリケーションに対して行われる制御であり、そのアプリケーションが期待通りに機能し、正確かつ完全なデータ処理を保証するための手続きを指します。ITACは、通常、業務プロセスに密接に関連し、具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 入力制御: データが正確に入力されているかを確認し、不正なデータがシステムに取り込まれないようにする。
  • 処理制御: データがシステム内で正しく処理されるよう監視し、処理エラーや不正なデータ操作を防止する。
  • 出力制御: 出力されるデータが正確で完全であることを確認し、レポートや帳票などが適切に生成されることを保証する。

ITACは、特定のアプリケーション内のデータの正確性や一貫性を確保するために不可欠であり、特に業務プロセスが複雑な場合やデータの正確性が求められる場合に、その重要性が増します。

 

● ITGCとITACの相互作用

ITGCとITACは独立した概念でありながら、相互に補完し合う関係にあります。ITGCが効果的に機能していないと、ITACの信頼性や効果も低下する可能性があるため、両者をバランスよく維持することが重要です。

例えば、システムのアクセス管理(ITGC)が不十分である場合、アプリケーション内でいかに厳格な制御(ITAC)が行われていても、不正アクセスによるリスクが残ります。また、システム変更が適切に管理されていない場合、アプリケーションの処理が意図せず変更される可能性もあり、データの整合性に影響を与えることがあります。

 

● まとめ

ITGCとITACは、企業のIT環境の健全性を確保するために不可欠な要素です。ITGCは全体的なリスク管理とシステム運用の安定性を支え、ITACは特定のアプリケーション内でのデータの正確性と信頼性を保証します。これらを適切に理解し、実施することが、企業のITガバナンスを強化し、業務効率の向上とリスク低減に繋がります。