日記

2024-11-25 19:51:00

【立場によって変わる人間の振る舞い:謙虚さを忘れないために】

先日、支援先の企業様から「昇進後のリーダーが威圧的な態度を取るようになったり、相手を軽く見るような失礼な言動が見られるようになった」というご相談をいただきました。この企業では、職場内の人間関係がギクシャクし、チームの連携や信頼関係の構築に課題が生じているとのことでした。

 

●立場の変化がもたらす振る舞いの変化

仕事や社会生活の中で、立場や役割が変わったことで人の態度が変わる場面を目にすることがあります。たとえば、昇進や役割の変更により、それまで穏やかだった人が急に威圧的な態度を取るようになったり、表向きには威圧的でないものの、相手を軽く見るような失礼な態度を示したりすることがあります。

こうした態度の変化は、その人自身の問題もありますが、役割や環境、周囲からの期待が影響していることもあります。しかし、どのような理由があったとしても、威圧的であったり失礼な態度は人間関係を悪化させ、自身の信頼を損ねる結果につながります。

 

●職場で見られる問題のある振る舞い:威圧と軽視

人の振る舞いの変化には、大きく2つのパターンがあります。

  1. 威圧 威圧とは、自分の力や立場を誇示し、相手を委縮させるような言動を取ることです。例えば、声を荒げて命令したり、否定的な言葉を繰り返すことで、相手にプレッシャーを与える行為が挙げられます。

  2. 軽視 威圧的ではないものの、相手を軽く見たり、尊重の欠けた言動を取ることです。これは、相手を対等な存在として認識せず、無意識に失礼な態度を取る場合が多いです。
    例)話の途中で相手を遮る、挨拶や感謝の言葉を省略する

どちらの態度も、本人に悪意がない場合でも、周囲にネガティブな印象を与え、人間関係の悪化を招きます。

 

●なぜそのような態度を取ってしまうのか

これらの態度が生まれる背景には、以下のような理由があります。

  1. 立場の勘違い 役職や権限が上がると、自分の価値が自動的に高まったと誤解することがあります。この「勘違い」は、威圧的な態度や軽視の原因となりがちです。

  2. 自己防衛のための過剰な自信の演出 威圧的な態度は、不安や経験不足を隠すための行動である場合があります。「弱さを見せたくない」という思いが、攻撃的な振る舞いを引き起こします。

  3. 無意識の慣れや傲慢さ 相手が反論しない状況や、自分が周囲より上の立場にいる環境が続くと、徐々に感覚が麻痺し軽視や失礼な態度を引き起こします。

 

●威圧的・失礼な態度がもたらす影響

こうした態度は、周囲との関係性に以下のような悪影響を及ぼします。

  • 信頼の喪失 威圧的な態度や失礼な振る舞いを繰り返すと、「この人には本音を言えない」「敬意を持てない」という印象を周囲に与えます。結果として、信頼を失い、協力を得にくくなります。

  • 孤立化 周囲が距離を置き始め、情報やサポートが得られなくなります。孤立することで、さらに威圧的な態度が悪化する悪循環に陥ることもあります。

  • 自己成長の機会を失う 周囲からの本音やフィードバックを得られなくなるため、視野が狭くなり、自分の成長に必要な機会を失います。

 

●謙虚さを保つための心構え

立場や役割が変わったときに謙虚さを失わないためには、以下のポイントが役立ちます。

  1. 「人は皆対等」という意識を持つ どのような立場でも、他者を尊重することが大切です。どんな役割でも必要な価値を持っていることを認識し、自分の立場に依存しない態度を心がけましょう。

  2. フィードバックを受け入れる 自分の振る舞いについて、周囲に意見を求める習慣を持つことで、無意識の態度のズレに気づけます。

  3. 相手の立場に立つ習慣を持つ 自分が受けている環境や状況を客観的に見つめ、もし逆の立場だったらどう感じるかを考えることで、不適切な態度を防ぐことができます。

  4. 感謝を言葉にする 当たり前のことに感謝する姿勢は、謙虚さを育むとともに、周囲との信頼関係を強化します。

と書きましたが、本人が自覚して実践するのはなかなか難しいです。日々の行動や習慣の積み重ねによって徐々に気づき、身につくもので、また、何より経験を積み、本人に自信と余裕を持ってもらうことが重要だと思います。

 

●まとめ

支援先の企業でのご相談を通じて改めて感じたことは、若かりし時の自分にもそういう時期がありましたし、いろいろな企業様をご支援していると振る舞いに問題がある方を実際に見かけます。ですから、立場の変化がもたらす振る舞いの変化は誰にでも起こり得るのではないかということです。

しかし、それを理解し、適切に対応することで、リーダーとしても個人としても成長するきっかけにできます。

職場の人間関係やリーダーシップの課題は、放置すれば組織全体に悪影響を及ぼします。だからこそ、組織と個人が協力し、謙虚さや敬意を大切にする環境を作ることが求められます。

2024-10-31 07:32:00

【設備投資におけるROI・NPV算出の誤解が招くリスク】

1. 設備投資のROI・NPVの基本的な考え方

企業が設備投資を行う際、投資がどの程度の収益性を持つかをROI(投資利益率)やNPV(正味現在価値)で算出し、意思決定の材料とすることが一般的です。これらの指標は、投資後のキャッシュフロー全体ではなく、増加した「増分キャッシュフロー」を基に評価するのが基本です。増分キャッシュフローとは、投資前のキャッシュフローと投資後のキャッシュフローの差額を指し、この差分が投資によって得られた純粋な追加価値を示します。

 

2. よくある誤解:投資後のキャッシュインをそのまま使用

先日、ある支援先(製造業)で、投資評価・判断資料を見せていただいた時に、ROIやNPVの算出において投資後のキャッシュイン全体をそのまま使用し、投資前のキャッシュインを差し引いていない点を発見しました。例えば、製造ライン設備の投資において、投資前のキャッシュインが年間100万円、投資後のキャッシュインが年間150万円の場合、50万円が増分キャッシュフローです。しかし、投資後の150万円全体をROIやNPVの計算に用いていたのです。

 

3. 誤算が生むリスクと意思決定への影響

増分キャッシュフローを考慮しないと、実際の投資収益性が過剰に見積もられ、不正確な投資判断が行われるリスクが高まります。特に以下のようなケースで誤解が生じやすいです。

  • 設備投資のROI向上を急ぐプレッシャーが大きい場合
  • 計算手法や評価基準に対する理解が浅い場合
  • 既存の投資評価フォーマットをチェックせずに使い続けている場合

結果として、誤った前提に基づいて投資判断が行われ、思ったような収益を上げられない可能性が高まります。

 

4. 正確な算出方法の普及とプロセスの強化が鍵

このような誤解を防ぐためには、ROIやNPVの算出方法の基本的な理解と共に、増分キャッシュフローの概念を社内で明確にし、評価プロセスの段階でチェック体制を導入することが重要です。こうした取り組みを通じて、設備投資のROIやNPVが投資の実際の価値を正確に反映するようにすることが、企業の健全な成長に繋がるでしょう。

ROI・NPVを正確に理解し、活用することが、経営資源を有効に使い、価値ある投資判断を行うための基本です。

なお、投資評価・判断は、ROI、NPVといった定量効果だけでなく、定性効果と合わせて総合的な判断が必要な場合もあります。

2024-10-01 23:15:00

【リスク、問題、課題は混同せずに適切な管理を】

プロジェクトやビジネスを成功に導くためには、リスク、問題、課題という三つの概念を正しく理解し、適切に管理することが重要です。これらを混同すると、適切な対応ができず、全体に悪影響を及ぼすことがあります。本記事では、リスク、問題、課題の違いを整理し、それぞれに応じた管理方法を解説します。

 


1. リスク: 将来発生し得る問題の管理

リスクは、将来的に発生し得る「問題」を指しその可能性があることをリスクとして認識されます。リスクは、まだ現実にはなっていませんが、今後発生する可能性があり、発生すればプロジェクトやビジネスに悪影響を及ぼすことになります。たとえば、リソース不足が発生する可能性があり、プロジェクトの遅延がリスクとして考えられる場合です。

  • 管理方法: リスクは、発生の可能性と影響の大きさに基づいて評価されます。特に、影響が大きく、発生する可能性が高いリスクに対しては、事前に予防策を講じることが重要です。リスクの発生を防ぐか、発生した際の影響を最小限に抑えるため、代替策や対応計画を準備します。リスクは定期的にレビューされ、状況の変化に応じて対応策を調整します。

 


2. 問題: 現実と理想のギャップの対応

問題は、すでに発生している障害や困難、または現状と理想の間にあるギャップを指します。問題は現実化しており、迅速に対応しなければならない状況です。たとえば、プロジェクトの進捗が計画に追いついていない、製品やサービスが期待された品質に達していない場合などが問題として挙げられます。

  • 管理方法: 問題は現実のものとして発生しているため、迅速かつ的確な対応が求められます。まず問題の原因を特定し、適切な解決策を講じることが重要です。また、再発防止のための予防策も検討し、同じ問題が繰り返されないようにします。

 


3. 課題: 問題解決のために取り組むべき事項

課題は、問題を解決するために取り組むべき事項です。課題は、具体的な行動に落とし込むため、詳細な ToDo に分解されることが多いです。これにより、課題の進捗が明確になり、実行しやすくなります。たとえば、品質向上を目的とした課題が設定された場合、それを「品質検査プロセスの見直し」や「スタッフトレーニングの実施」といった具体的なToDoに分解します。

  • 管理方法: 課題は問題を解決するための具体的な取り組みであり、優先順位をつけて計画的に実行する必要があります。ToDoに分解することで、課題に対してどのように行動を進めるべきかが明確になります。進捗を定期的に確認し、必要に応じて対応を柔軟に変更することが重要です。課題が解決されることで、問題の解消やリスクの軽減につながる場合もあります。

 


4. リスク、問題、課題を混同しないためのポイント

リスク、問題、課題の違いを明確に理解し、それぞれを適切に管理するためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 定義を共有する: チーム内でリスク、問題、課題の意味を共通理解として定義し、適切に区別します。リスクは将来の可能性、問題は現実化した障害、課題はその解決策として扱います。
  • 優先順位をつける: それぞれの状況に応じて優先順位を付けることが重要です。リスクには予防的な対策を、問題には迅速な対応を、課題には計画的な改善アクションを進めます。
  • 定期的にレビューする: リスク、問題、課題の状況は時間とともに変化します。定期的にレビューを実施し、新たなリスクや解決すべき問題、進めるべき課題を柔軟に対応していきましょう。

 


まとめ

リスク、問題、課題は、それぞれ異なる概念ですが、プロジェクトやビジネスの成功に大きな影響を与えます。これらを正確に区別し、適切に管理することで、予期しないトラブルを回避し、効率的なプロジェクト運営が可能になります。リスクには予防策を、問題には問題原因を踏まえた解決策を、課題には実効性の高いタスクへの落とし込みを通じて、成功への道を開いていきましょう。

2024-09-27 08:05:00

【IT全般統制における最重要ポイント:システム運用の信頼性を支える3つの柱】

 

IT全般統制(IT General Controls, ITGC)は、企業全体のIT環境における信頼性やセキュリティを確保するための基盤であり、システムやデータの健全な運用を支える要素です。特に、大規模な企業においてはシステムの安定性とセキュリティが事業継続に不可欠な要素となるため、ITGCの適切な導入は非常に重要です。システム障害やデータ漏洩などのリスクを未然に防ぐためには、ITGCの徹底が求められます。

今回の記事では、ITGCの中でも特に重要な3つの統制ポイント「アクセス管理」「変更管理」「構成管理」を解説し、それぞれがどのようにシステムの安定運用を支えているかを整理します。

 


1. アクセス管理:セキュリティの基盤を固める

アクセス管理は、システムやデータへの不正アクセスを防ぐための最も基本的な統制であり、企業の情報資産を守るセキュリティの要です。特に、企業の重要なデータやシステムに対するアクセス権限は、適切に管理される必要があります。例えば、過剰な権限を持つユーザーが増えると、システム全体の脆弱性が増す可能性があるため、慎重な権限の付与と管理が求められます。

<主な要点>

  • 最小権限の原則: ユーザーには業務に必要な最低限の権限しか付与せず、誤操作や悪意あるアクセスのリスクを軽減します。
  • 定期的な権限レビュー: ユーザーの役割や業務が変更された際には、権限が適切に見直されているか定期的に確認します。離職者や異動者に対するアクセス権の迅速な取り消しも、リスクを最小限に抑える重要なステップです。
  • 特権IDの管理: システム管理者などの特権ユーザーには、一般ユーザーとは異なる厳格な監視が必要です。操作ログの定期的な確認により、透明性を確保し、誤用や悪用のリスクを軽減します。

アクセス管理の厳格な運用により、企業は情報漏洩や不正アクセスのリスクを大幅に低減でき、システム全体の信頼性を高めることができます。

 


2. 変更管理:システムの安定性を保つための必須プロセス

企業のシステムやアプリケーションは、技術の進歩やビジネスニーズの変化に伴い、定期的にアップデートや修正が必要となります。しかし、無計画な変更や不適切な修正は、システムの安定性を損ない、業務に深刻な影響を与えるリスクを伴います。変更管理プロセスは、システムの信頼性を保ちながら、必要な変更を安全に実施するための統制です。

<主な要点>

  • 承認プロセスの徹底: 変更の実施前には、必ず承認を得て、変更内容やその影響範囲、リスクについて十分に評価される必要があります。これにより、予期せぬトラブルを未然に防ぎます。
  • テスト環境の活用: 変更は本番環境に適用する前にテスト環境で徹底的に検証し、問題がないことを確認します。このテスト段階により、業務に支障をきたすような重大な障害を防ぐことができます。
  • 変更履歴の管理: 変更が行われた際には、いつ、誰が、どのような変更を加えたのかを記録し、追跡できるようにします。これにより、将来的なトラブルシューティングが容易になります。

変更管理が適切に機能することで、企業はシステムの安定稼働を維持し、ビジネスニーズに柔軟に対応できる環境を構築することが可能です。

 


3. 構成管理:システム全体の可視性を高める

構成管理は、システムやネットワークの構成要素を正確に把握し、記録するプロセスであり、変更管理と密接に関連しています。適切な構成管理がなされていない場合、システム変更の影響範囲が不明確になり、システムの安定性やセキュリティに悪影響を及ぼすリスクがあります。

<主な要点>

  • ハードウェアおよびソフトウェアの構成管理: すべてのハードウェアやソフトウェアのバージョン、依存関係を正確に記録し、更新情報を管理します。これにより、変更の影響を事前に予測し、システムの一貫性を保つことができます。
  • バージョン管理: ソフトウェアのバージョンやパッチの適用状況を把握し、セキュリティリスクを最小限に抑えます。また、互換性の問題を回避し、システム全体の安定性を確保します。
  • 構成管理データベース(CMDB)の活用: 構成管理データベースを用いることで、企業のIT資産を一元管理し、システムの構成要素とその関連性を把握できます。これにより、変更の影響範囲を迅速かつ正確に把握できるため、システム全体の可視性が向上します。

構成管理を徹底することで、システムの整合性が保たれ、より効率的な運用が可能となります。

 


まとめ:IT全般統制の重要性

ITGCは、企業のIT環境全体を管理し、システムの信頼性やセキュリティを確保するための重要な基盤です。特にアクセス管理、変更管理、構成管理は、システムの安定稼働とセキュリティを維持するための三大要素として位置づけられます。これらが適切に管理されていない場合、企業は重大なリスクにさらされる可能性があります。

IT環境の複雑化が進む中、これらの統制を強化し、定期的に見直すことが求められます。ITGCの適切な導入と管理により、企業はリスクを最小限に抑え、ビジネスの安定性と継続性を確保することが可能です

2024-09-20 07:23:00

【BCP策定・運用支援の失敗リスクと教訓】

事業会社でのBCP(事業継続計画)策定や運用は、リスク管理において不可欠な取り組みです。しかし、実際にはBCPがトップダウンで進められることが多く、現場が形だけ関与するか、またはほとんどついてこないケースもあります。また、経営層がBCPの重要性を認識している場合でも、現場にその実行を丸投げしてしまい、結果として計画が形骸化するリスクが生じます。

 

1. コンサルタントの役割と限界

先ずは、BCPコンサルタントの役割と限界を理解してもらう必要があります。BCPコンサルタントは、BCPに関して、策定方法、運用方法や他社の成功事例を提供できます。この知識は企業にとって有益ですが、コンサルタントが提供できるのはあくまで「手法」や「事例」に過ぎません。最終的な事業継続を保証するのは企業内部の取り組みであり、コンサルタントが直接それを担うことはできないのです。

以前、支援先のクライアントで事業インパクト分析・リスクアセスメントを実施中にリスク、課題が明確になってくると「コンサルタントとして事業継続を100%保証してくれ。そうじゃないならやる意味がない」と言われたことがあります。そういう発言に至った気持ちもすごく理解できます。ですが、BCPは事業を継続するための重要な手段ではあるものの、自然災害や予測不能な外部要因に対して外部のコンサルタントが100%の保証をすることは現実的に不可能です。最終的なリスク管理と対応の責任は企業自身にあるのです。

 

2. トップダウンアプローチの限界

BCPの策定・運用がトップダウンで進められることが多い理由の一つは、経営層がリスク管理に積極的に関与し、会社全体の方針を示す必要があるためです。しかし、このトップダウンアプローチが必ずしも成功するわけではありません。

  • 現場がついてこない: BCPが経営層から現場に押し付けられる形で進行すると、現場の従業員が計画に対して消極的な姿勢をとり、結果として形だけの関与に終わることがあります。現場の具体的な業務に結びついていない計画は、緊急時に実行されることが難しくなります。

  • 経営層による丸投げのリスク: 経営層がBCPの重要性を認識しつつも、計画の具体的な策定、運用を現場に丸投げするケースも見られます。このような場合、BCPは「形式的に策定されたものの、実際の運用は曖昧」という状況になりかねません。

 

3. 企業全体での主体的な取り組みの重要性

BCPの策定・運用を成功させるためには、企業全体が主体的に取り組む必要があります。トップダウンの指示だけではなく、現場からのボトムアップの意見を取り入れ、全社的な意識共有を行うことで、より効果的なBCPが実現します。以下のステップが特に重要です。

  • 経営層と現場の連携: BCPが単なる形式的な計画に終わらないようにするためには、経営層と現場の間で密接な連携が必要です。経営層がリーダーシップを発揮しつつ、現場の具体的なニーズや課題を反映した計画を策定することで、計画が実効性を持つようになります。

  • 現場での実践訓練: 現場の従業員がBCPに対して実際にどう対応すべきかを理解し、緊急時に適切に対応できるようにするためには、定期的な訓練やシミュレーションが欠かせません。これにより、現場レベルでの対応力が強化され、計画が実際に機能することが期待できます。

  • BCPの意識を全社員に浸透させる: 経営層がBCPの重要性を認識し、現場がそれに基づいて行動できるようにするためには、全社員に対してBCPの意識を浸透させる取り組みが必要です。全社的な教育や啓発活動を通じて、BCPが単なる「他人事」とならないようにすることが求められます。

 

最後に

私のコンサルタントとしての力量不足もあるかと思いますが、BCPの取り組みは現実感がないこともあり企業が主体的に動かない、動機付けがうまく行かない場合があります。

この時、個人的には、初期初動対応と事前対策の2つを可能な限り具体化・強化する支援に注力します。初期初動対応は、先ずは人命を守ることが最大の目的です。また、事前対策を強化することで人命、建屋、設備、情報システムの被害を最小限に抑えることができます。動機付けがうまく行かない場合でも、初期初動対応の内容を現場が理解し、事前対策を実行して備えることで、災害時の混乱を最小限に抑えることが可能だと信じています。

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