日記

2024-09-17 12:22:00

【セキュリティ事故は人災:性善説を超えたサプライチェーン全体の対策と投資の重要性】

●セキュリティ事故は人災である

多くのセキュリティ事故は、技術的な問題だけでなく、人間の過失や判断ミスによる「人災」です。たとえ強固なセキュリティシステムを導入しても、それを適切に運用しなければ意味がありません。誤ったアクセス権の設定や、無意識にフィッシング攻撃に引っかかるなど、人的要因によってセキュリティは簡単に破られてしまいます。過去に支援したクライアントやよくお聞きする実例において、セキュリティ事故のほとんどが人災でした。こうした事故を防ぐためには、技術と同時に人間の行動にも注目する必要があります。

 

●性善説にもとづくセキュリティ対策の限界

セキュリティ課題がある多くの企業は、従業員や取引先が「善意」で行動することを前提にしたセキュリティ対策を行っています。しかし、この性善説に基づく考え方には限界があります。善意の行動が前提となっているセキュリティ対策は、誤解や勘違い、外部の攻撃者による巧妙な騙し、さらにはふとした「魔が差した」行動によって、重大なセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。たとえば、従業員が通常は慎重に行動していても、忙しさや疲れから不注意な行動を取ることでセキュリティリスクが高まることがあります。性善説に依存せず、性悪説に基づいてセキュリティを設計し、内部・外部問わず脅威に対応することが求められます。

 

●サプライチェーンや委託先も含めたセキュリティ対策の重要性

現代のビジネス環境では、企業は単独で運営されているわけではなく、多くの場合、サプライチェーンや委託先との協力が不可欠です。このため、企業自体のセキュリティ対策だけでなく、サプライチェーン全体のセキュリティも確保することが重要です。サプライチェーンの一部にセキュリティの弱点があれば、そこが攻撃の入口となり、企業全体に被害が及ぶ可能性があります。委託先のセキュリティ対策が不十分であれば、外部からの攻撃やデータ漏洩が発生し、企業の信用が損なわれるリスクも高まります。したがって、セキュリティ対策は、企業内だけでなく、サプライチェーン全体に対しても徹底することが求められます。

 

●セキュリティ対策はコストではなく、事業継続に必要な投資

セキュリティ対策を「コスト」と捉えがちですが、それは誤解です。実際には、セキュリティ対策は事業継続を守るための「投資」であり、セキュリティ事故が発生した場合の被害や事業中断による損失は計り知れません。例えば、重大な情報漏洩が起きれば、顧客の信頼を失うだけでなく、訴訟リスクや修復に膨大な費用がかかります。セキュリティ対策に費用を惜しむことは、将来の事業リスクを高めることに他なりません。したがって、セキュリティ対策は長期的な視点で考え、事業継続を支えるための重要な投資と位置づけるべきです。


このように、セキュリティ事故は人為的な要因が大きく関与しており、企業全体、さらにはサプライチェーン全体に対してセキュリティ対策を徹底することが重要です。そして、セキュリティ対策は単なるコストではなく、事業を守るための不可欠な投資であるという認識を持つことが、企業の長期的な成功につながります。